2019年2月24日(日)、神奈川県の湯河原町で「湯河原町 一箱古本市」が開催されました。
「一箱古本市」は、参加者の「ひと箱さん」が段ボール1箱分の本を持ち寄って、古本屋さんとなるブックイベント。2005年に東京で行われた「不忍ブックストリート」にはじまり、現在は地域をつなぐイベントとして日本各地で開催されています。
今回の会場を提供する「大家さんは」は、湯河原唯一の書店「好文の木」の店長・林純子さん。地域のみなさんが集まって実行委員会をつくり、仕事の合間に準備を進めてきました。
当日は天気にも恵まれ、東京や小田原からも本好きな人が参加されて会場は大盛況!
その様子を、写真レポートでお伝えします。(顔出しされている方は、ネット掲載の承認を得ています)
古本市の会場は、お店の駐車場。手作りの本型ガーランドが青空の下ではためきます。
小田原ブックマーケットの実行委員長の牛山恵子さんや、宮上幼稚園の井上さんら中心スタッフ。予想以上に多くの人が足を運び、一箱古本市は大成功。みなさんも笑顔です。
親子で参加された「なつめブックス」さん。「今はむやみに捨てないで、リサイクルする時代です。子どもが成長して読まなくなった新幹線の絵本も、電車の好きなお子さんに読んでもらえるといいですね」とお母さま。
勤め先の人に誘われて参加を決めた「がちゃがちゃ屋」さん。
名前の由来は?
「友だちが私の本棚をみて、『(いろんな系統の本があって)がちゃがちゃしている本棚だね』と言ったので」。たしかに多ジャンルの品揃え。他人の本棚を覗き見できるようなところも、一箱古本市の楽しいところですね。
何度も各地の一箱古本市に参加されている、静岡県在住の男性。今回もネットで一箱古本市の開催情報を検索して、「湯河原町 一箱古本市」を知ったそうです。
兼業で無農薬のお茶の栽培や販売をされていて、本棚の上に少しだけ置かれていました。東京から参加した私には、地元のよい食品との出会いの場にもなりました!
個人活動家で教育関係の仕事もされている金子さん(右)と、翻訳者の関口さんのコンビの「なんじゃもんじゃ文庫」。
「湯河原に住んでいますが、まわりにあまり本の話をする人がいなくて。このような機会に、地元の本の好きな人たちと繋がれると嬉しいです」と金子さん。
手仕事の本を中心に出品した「なんじゃもんじゃ文庫」さんの看板は、なんと手刺繍!『ことばの焚き火』は金子さんが制作された、美しい写真と詩の本です。
宮上幼稚園の協力もあり、小さな子どもの参加者も多く、会場に元気な声があふれていました。
売り手も、買い手も子どものお店も!この古本市が、本に親しむきっかけになるといいですね。
湯河原町在住の作家・田口ランディさんが、「好文の木」の1日店長に。気さくに話しかけて、その人にあった本を紹介されていました。
田口さんの書籍や、文章教室で紹介した書籍が並ぶコーナー。ポップも力が入り、一つ一つを読み込んでしまいます。
店内の一角で行われた田口ランディさんの文章教室は、多くの立ち見が出るほど大盛況。
作家になった経緯から、オススメの本、文章を書く根本的なコツなどを話され、みなさん深くうなずきなから聴講。ここでも多くの名言が炸裂しました。
「文章を書くときは、プロレスで言えばタイガー・ジェット・シーン方式。
いきなり場外乱闘で書き始めるのが大切」
「Way?にHowで答えられても人は納得できない。
今はHowの本があふれていて本離れが進んでいますが、それは(ある意味)よい傾向。
これからはWay?のモヤッとしたものをそのまま受け止めてくれる、モヤッとしたものをモヤッとしたまま一緒に悩む、そういった本が見直されていくと思いますし、そこに希望を持っています」
最後は「不忍ブックストリート」の代表で、各地のブックイベントに関わるライター・編集者の南陀楼綾繁(なんだろう あやしげ)さんの挨拶がありました。
3月2、3日に東京の桜神宮会館で開催される「みんなで知恵を持ちよるブックフェア・ポトラ 」とも連動しています。
3日には「湯河原町 一箱古本市」の仕掛け人でもある南陀楼さんをはじめ、牛山恵子さんや、林純子さん、そして田口ランディさんが報告とともに開催のノウハウを伝授します。
「一箱古本市」を開催したい方、地方の本屋さんの現状を知りたい方、本で町おこしに関心のある方などなど、必見です。
田口ランディさんのメッセージ
小さな町の本屋さんが地域の中でどう生き残っていくか、出版社、著者、読者、それぞれが集まって知恵を持ち寄りました。神奈川県湯河原町で唯一の本屋さんになった「好文の木」とポトラが共同で、「一箱古本市」を企画開催、湯河原町近辺の方々の総力を結集し、本屋さんの大復興作戦を展開。開催ノウハウをみなさんにお伝えします。一箱古本市について知りたい方はぜひご参加ください。
トークイベント
本屋さんの未来・町の本屋さんができること「一箱古本市」で広がる地域の輪
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