コマメディア 〜史上最弱の仏弟子コマメ〜

雑誌、書籍で活動するライター森竹ひろこ(コマメ)が、仏教、瞑想、マインドフルネス関連の話題を紹介。……最弱なのでおてやわらかに!

【報告】テーマは「遊戯三昧」!プラユキさんの瞑想会を開催しました。

 

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5月5日、タイで出家された日本人僧プラユキ・ナラテボーさんを招いて、「子どもの日の瞑想とお話の会」を開催しました。テーマは子どもの日に因んで「遊戯三昧」、「なにものにもとらわれることなく、仏の境地で遊ぶこと」を表す禅語です。

 

 

オープニング法話

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オープニング法話では「遊戯三昧」について、お話しいただきました。

 

「遊戯三昧」なんて、遥か遠くの境地に思えます。でも、プラユキさんは、私たちは「遊戯三昧」に生きることができると言われます。本当ですか!?

 

プラユキさんは、そもそも私たちが遊戯三昧に生きられないのは、子ども時代に素直に発した言葉が、親に受け止められたなかったトラウマ体験が大きいと指摘されます。

 

そのような、子どもの原初的感情(喜び、悲しみ、怒り/嫌悪、怖れ/不安)に対する親の非機能的反応は、大きく3つに分かれるそう。

 1.  過干渉

 2.  虐待

 3. ネグレクト(無視)

 

そしてこれが、見事に仏教三毒(貪瞋痴)に対応します!

  1. 過干渉→貪り:はまり込み、執着
  2. 虐待→瞋(怒り):否定、嫌悪
  3. ネグレクト(無視)→痴(アヴィチャ:見ないこと):回避、逃避、無自覚

 

3の痴は、もとのパーリ語ではアビッチャ。アは「〜ない」、ヴィチャは「見る」なので、「見ないこと」を示しています。

たしかに子ども時代に、親にこのような三毒的な対応をされたら傷つきますよね。

 

ところが、ここでプラユキさんは問いかけます。

「みなさんは自分に対しても、このような反応をしていませんか?」

 

うーん、言われてみれば自分の素直な思いに対して、嫌悪したり、無視したり、ハマりこんで同一化してしまうことが日常的にありますよね。

つまり私たちは、大人になっても知らず知らずのうちに、自分自身でトラウマをつくっていたということでしょうか。ガーン!

 

でも、安心してください。プラユキさんはヴィパッサナー瞑想で適切に対応していくことで、自分とよりよく触れ合う関係を築いていくことができると言われます。

五力(瞑想で培える五つの力:信頼力、関心力、覚醒力、受容力。洞察力)をつけていくことで、自分に対して三毒的な反応ではなくて、「瞑想的な対応」ができるようになるのです。

 

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この瞑想的な対応ができるのが、「成熟した親」意識。この意識で、自我の奴隷になっている自分のなかの「子ども」と「親」の反応に気づき、受容、理解して苦しみを滅していくことで、「子ども」は慈悲へ、「親」は智慧へと育っていきます。

 そうなったら、こっちのもの!何をしても仏の境地でパフォーマンスができ、人のよき縁となれる、まさに「遊戯三昧」の境地になっているそうです。

 

 

 瞑想実践

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法話を聞いて瞑想への意欲が増したら、さっそく実践です。

今回は、手動瞑想、歩く瞑想、呼吸瞑想(アナパナ・サティ)、ブッドー瞑想、食べる瞑想(ランチタイム)などを指導いただきました。

 

手動瞑想は、いつもの気づきをともなうやり方と、ゆっくり集中して動かしていくやり方を試しました。このことで、ヴィパッサナー瞑想と、サマタ瞑想の違いが体感できたのではないでしょうか。

 

また、手動瞑想は一動作一秒が基本で、パッ、パッと、けっこう早く動かしていくことを確認。もっとゆっくりとしていた人も多かったようで、やはりときどき瞑想会に参加して、自己流でやっていないかチェックするのは大切ですね。

 

 

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歩く瞑想は、近くの代々木公園で行いました。初夏を思わせる陽射しのなかで、それぞれが、自分のペースで取り組むことができました。

 

その後の質疑応答は、瞑想のやり方から、職場での人間関係まで、幅広い質問がでました。

 

 

 懇親会

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終了後の自由参加の懇親会は、同じ会場でプラユキさんを囲んで車座になって行いました。

まずは、全員がプラユキさんとひと言ずつ話をして、その後、フリートークへ。

ここでは、瞑想会の質疑応答では遠慮されていた(?)素朴な疑問から、マニアックな質問までバラエティーにとんだ話題が出て、それにプラユキさんが自在に答えます。

 

なかでも、職場関係の知人から辛い対応を受けている女性との対話は、公開個人面談といった趣に。プラユキさんにひかれるように、参加者も自然と彼女のつらさに寄り添い、「それは、つらいよね〜」と共感。会場が一つになって、暖かさに満ちた空間になりました。

 

この日は、全体を通して「遊戯三昧」の精神が流れ、参加者のみなさんも、それぞれがその世界にふれつつ、一日をすごされたようです。

 

実は、プラユキさんはレジュメ制作のため、あまり寝ていなかったそう。

それなのに全く疲れをみせず、最後まで笑顔で高いパフォーマンスをする姿には、脱帽です。まさに「遊戯三昧」、ですね。

 

最後になりますが、お手伝いしてくださった方々、本当にありがとうございました。みなさん方の力のおかげで、滞りなく終わることができました。その功徳に、随喜いたします!

 

 

(おまけ)

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この日のランチのお布施は、Oさんによる美味しそうな手作りのお弁当でした。くまちゃん(コアラ?)の赤い弁当箱が、プラユキさんにピッタリ!?