コマメディア 〜史上最弱の仏弟子コマメ〜

雑誌、書籍で活動するライター森竹ひろこ(コマメ)が、仏教、瞑想、マインドフルネス関連の話題を紹介。……最弱なのでおてやわらかに!

【日々】吉村均先生を講師に、ダライ・ラマ法王の著書『思いやりのある生活』の読書会が始まりました

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これから、日々の記録や日記の一部を公開できるように編集したものを、時々投稿していきます。

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今日(7月12日)から吉村均先生を講師に、ダライ・ラマ法王の著書『思いやりのある生活』(沼沢由起子訳:光文社 知恵の森文庫)の読書勉強会が始まった。

会場は五反田のチベット仏教研究所。昨年の春から約1年かけて開催された「チベット仏教入門 実践編」に続いての受講のため、知っているお顔も多い。

 

原題は『The Compassionate Life』で慈悲の悲がテーマ。英語で慈悲はLove and  Compassionと訳されているそう。

仏教のなかでもチベット仏教はとりわけ慈悲を重視していて、実践なども豊富だ。一度しっかり学びたいと思っていたので、よき機会をいただいた。

 

この本の前半は「思いやりの心」が私たちの幸せや現代社会の問題にいかに役に立つのか、後半はブッダの境地を目指す仏教の教えとその実践的な内容が書かれ、その前半後半が矛盾なくつながっているそうだ。さらに、仏教の基礎が全て入っていて、吉村先生は最適の仏教入門書だと言われる。

 

講義で特に印象に残ったのは、(チベット)仏教の実践には自尊心が大切ということ。

そのためチベットの僧侶方は、いかに人間に生まれることは極めて稀で得がたいことかを頻繁に説く。自我や利他の教えより先に、まずは人間に生まれたことの幸運を教える。それを知識ではなく実感することが大切で、その先の修行の大きなべースとなるそうだ。

日本人にはこれがか欠けている人が多く、高度な教えがなかなか根付かない一因でもあるらしい。

 

実際、今日行ったロジョン(チベットの心の訓練法)のなかのトンーレン瞑想でも、自分は傷つけられた、誰も評価してくれないと自己肯定感の低い人は、まずは苦しみを吸い、幸せをあたえる対象を自分に向けるように指導された。

 ここは、自分の幸せを願うことから始まる慈悲の瞑想とも通じるところ。仏教の基本なのだろうなぁ。

 

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ところで、先日来日されたチベットの高僧に関する話題のなかで、「七偈の解脱母(ターラ菩薩)への守護の祈り」には、「阿羅漢になりませんように」という内容が入っていることをお聞きした。阿羅漢になって輪廻から離れると、またこの世界に戻ってきて衆生を助けることができなくなるためだろうか……。

私は輪廻からの解脱(阿羅漢)を特に目指しているわけではなく、強いて言えば大乗マインド(例えば自他の抜苦とか、自分の周りから平和を広げていくとかですね)で仏教の実践をしているが、それでも阿羅漢にならないように願うことには抵抗がある。それはそれで素晴らしいことだと思うのだが……。ここは謙虚に実践や学びを重ねながら、丁寧にみていこう。

 

 (追記)

吉村先生から「七偈の解脱母(ターラ菩薩)への守護の祈り」について、補足説明をいただきました。

 

仏陀の境地を目指して修行するものが、仏教理解が不十分のため、本来の道からはずれてしまうことを防ぐためのお祈りです。ですから、阿羅漢を目指すことを否定しているわけではありませんが、阿羅漢を目指して修行している人は、唱えない方がいいでしょう」

 

なるほど、阿羅漢を否定しているのではなく、目指す境地によって祈りの言葉や、祈る対象も変わるのですか。確かに東京から大阪を目指すのに、北陸新幹線に乗ったら金沢についてしまいます。目的をもったら、それに相応しいルートを選ぶのは大切ですね。

講義の準備などでお忙しいなか、誤解が生じないように対応くださり感謝いたします。