編集協力をした、禅僧の藤田一照師と、宗教学者(チベット仏教)の永沢哲先生の対談集「禅・チベット・東洋医学 瞑想と身体技法の伝統を問い直す」」(サンガ)が発売中です。
編集部の紹介文
「広汎な知識と深い経験を有する二人の話頭は、現在の仏教が抱える問題、欧米からの逆輸入の形で広まりつつある瞑想文化であるマインドフルネスの危うさ、精神文化の危機、そして生命が本来持つポテンシャル、瞑想のための身体論、よい転生のための死の技法など、刺激的な話題に溢れ、時間と空間を縦横に飛翔します」
この本の制作のきっかけは2015年夏、『サンガジャパン24号 チベット特集』の巻頭に掲載するため、藤田師の本拠地である葉山・茅山荘で行なわれた対談です。
禅、チベット、マインドフルネス、アメリカの仏教、野口整体、脳科学……縦横無尽に三時間以上をノンストップで話し続けるお二人の対話は、軽やかなのに深い智見があふれ、私はただただ聞き入ってしまいました。「これで終わるのは、もったいない!」。
同席していたサンガの島影代表と編集の川島さんも、同じ思いだったのでしょう。その日の帰りの電車では永沢先生に、さらに対話を重ねて1冊の本にすることを提案されていました。
書籍化の快諾をお二人からいただき、翌年の夏にさらに1日をかけてゆっくり対話され、結果300ページ以上になるロング対談集となりました。
2015年の対談は、母屋の炉端で和やかに行なわれました。
2016年は、さらに禅堂や……
時に、緑あふれる敷地内を散策されながら行なわれました。
本文の編集協力は、対談やインタビューの構成で定評のある、川松佳諸里さんが担当。自由闊達に行き来する対話を、話の内容やニュアンスはそのままに、書籍として読みやすいようにまとめてくれました。
一部を掲載した『サンガジャパン24号』を読んだ方から、「本当に頭のいい人同士のフリートーキングって、こういうものだったのか!」と、感嘆まじりの感想をいただいた対談。ワクワクと知の先端に触れながら読み進めるうちに、いつのまにか心身や生死を巡る、深い洞察と出会えるのでないでしょうか。