コマメディア 〜史上最弱の仏弟子コマメ〜

雑誌、書籍で活動するライター森竹ひろこ(コマメ)が、仏教、瞑想、マインドフルネス関連の話題を紹介。……最弱なのでおてやわらかに!

「ティク・ナット・ハンの微笑みと気づきの瞑想を体験する」(講師:島田啓介氏)を開催しました。

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1月14日、ティク・ナット・ハン(愛称タイ)の本を多く翻訳し、プラムヴィレッジ(タイが本拠地とされる僧院)形式の瞑想会も主宰されている島田啓介さんを講師に、「ティク・ナット・ハンの微笑みと気づきの瞑想を体験する 〜瞑想経典3部作の完結を記念して」を開催しました。

 欧米発のマインドフルネス・ムーブメントの父といわれるタイが、マインドフルネス瞑想の実践の手引とあげているのが、三つの仏教経典「四念処経」「出入息念経(安般守意経、アーナパーナ・サティ・スッタ)」「一夜賢者経」です。昨年、タイによるこの三つの経典の解説書の日本語出版が完結し、それを記念して開催する運びとなるました。

 

前半 まずは、リラックス

 まずは床に横になって、深くくつろぐ瞑想(トータル・リラクゼーション)からスタート。これはプラムヴィレッジの瞑想会では、必ずといってよいほど始めの方で行なう瞑想です。 

 「リラックスしないと、なにも始まりません」と島田さん。現代社会に生きる私たちは、体を使い、コミュティーのなかで生きてきたブッダの時代や、それに連なる生活をしている人たちとは違い、いきなり坐れと言われても難しいそう。「まずは身体をゆるめて、スペースを作ります」

  おりしもこの日は、日本列島を大寒波が襲来。島田さんの温かい声のリードで、いつも以上に寒さでこわばった体と心がほぐれ、会場に穏やかな空気が満ちてきました。

 

 前半の講義は、まずは自身の来歴やティク・ナット・ハンとの関わりを紹介。さらに、仏教経典「四念処経」のエッセンスを歌詞にしたプラムヴィレッジ・ソング「入る、出ていく(呼吸のうた)」の歌唱や、「四念処経」の一節を黙想しながら行なうお茶の瞑想などをまじえて、リラックスした雰囲気のなか、心身を通して経典への理解を深めていきました。

 

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お茶の瞑想は輪になって行いました。

 

 

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お茶は島田さんのサンガフレンド製の静岡茶。フランス・プラムヴィレッジの売店でも販売している(タイもお気に入りだそう)の、ジェルブレのクッキーもお出ししました。

 

後半 パーリ経典を大乗マインドで読み解く

 後半は、スリランカのariyadhamma長老の「四念処経」の正統なチャンティング(読経)などを聞きつつ、踏み込んだ経典講義と実践へと進みました。

 

 タイはベトナムの禅僧ですが、ベトナム仏教は上座仏教大乗仏教の二つの流れをくむ独特なものだそう。タイが指導する瞑想は、「上座の瞑想テキスト(経典)を、大乗マインドで行なう」と定義できるようです。

 「四念処経」の4つの実践項目(身念処、受念処、心念処、法念処)を、大乗の視点から読み解く講義は、「選択的水やり」「エンゲージド・ブッディズム(社会参画仏教)」「無願」、そして島田さんの造語「他力のヴィパサーナ」など大乗的な言葉が触媒となり、とてもスリリング。瞑想実践における視野を広げてくれました。

 また座る瞑想の実践は、瞑想のハウツー経典とも言われる「出入息念経(アーナパーナ・サティ・スッタ)」をもとにした、プラムヴィレッジオリジナルのリードで行いました。

 

 毎月、全国各地で行なわれている、プラムヴィレッジの瞑想会「気づきの日」は、実践が中心で、今まで教義や経典を学ぶ機会が、なかなかありませんでした。

  今回、島田啓介さんによる経典をテーマにした会が実現したことで、ぐっと実践に対する理解が深まりました。自分が何をしているのかを理論的にも知ることは、道にそれないためにも有効なことです。

 今回の会が実現できたこと、嬉しく思います。講師の島田さん、お手伝いしてくださったMihoさん、そして参加してくださったみなさん、ありがとうございました。

 

 

追伸 

 当日はお茶の瞑想用に、自宅に急須がある人は持参をお願いしたところ、たくさんの方が持参してくれました!

 

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急須(ポット)コレクション? マインドフルネスにお茶をいれるMihoさん。