コマメディア 〜史上最弱の仏弟子コマメ〜

雑誌、書籍で活動するライター森竹ひろこ(コマメ)が、仏教、瞑想、マインドフルネス関連の話題を紹介。……最弱なのでおてやわらかに!

2020年の三宝節のアチャン・ニャーナラトー師と浦崎雅代さんからのシェア

陰暦8月の満月は、タイでは三大仏教行事のひとつアーサーラハブチャー(アハラハ・プジャAsalha Puja )にあたります。お釈迦様が悟りをひらかれた後、5人の元修行仲間にむけて初めて説法をされて(初転法輪)サンガが誕生し、仏法僧の三つの宝(三宝)が成立したとされる日で、今年は7月5日になります。

この日は僧侶や在家信者が夕刻から寺院に集まり、転法輪経などを読誦をし、法話を聴き、ロウソクと花を手に本堂や仏塔を右回りに3周して仏法僧への帰依の気持ちを表すウィアン・ティアンという儀式を行います。

 

日本では三宝節と訳されていますが、なかなか触れる機会がありませんね。

そこで、浦崎雅代さんがタイのウィリヤダンマ・アシュラムの今年の様子を撮影された動画と、英国アマラーワティー僧院に20年以上在する日本人僧侶アチャン・ニャーナラトー師のレポートを紹介させていただきます。

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 タイのウィリヤダンマ・アシュラム(Home | viriyadharma)は、日本人僧侶のプラユキ・ナラテボー師が副住職を務める森林僧院スカトー寺と協力関係にある、「気づきの瞑想が学べる修行場」です。浦崎さんはご家族とともにここで暮らし、運営や管理、僧侶や滞在者のサポートなどをされています。

映像では、読経と、スカトー寺の副住職(複数人おられます)のスティサート師の説法、そしてウィアン・ティアンの様子が伝えられています。

法話は、仏教書や関連テキストの翻訳でも活躍される浦崎さんが、日本語に通訳されています。

スティサート師は、ご自身の体験を通して法や瞑想をわかりやすい言葉で、しかも本質をついて伝えることで定評があります。映像を配信し、法話の通訳もしてくださり、浦崎さんありがとうございます。

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 英国アマラーワティー僧院は、タイの20世紀を代表する大長老アチャン・チャー師の流れをくむ、欧州最大規模のテーラワーダ仏教僧院です。

そこで長年修行し、その運営にも関わってきたのが日本人僧侶のアチャン・ニャーナラトー師。師のご帰国のおりには、各地で支援者によって瞑想会や勉強会が開催されています。さらにコロナ渦では、オンライン瞑想会も開催されるようになりました。

 

そのニャーナラトー師が、アハラハ・プジャの僧院の様子を時系列にそって詳しく伝えてくださいました。

 

 

※文中に出てくるアジャン・アマロー師は、アマラーワティー僧院の現僧院長です。英国イングランドに生まれ、1979年にアチャン・チャー師のもとで出家されています。

 

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写真:アマラーワティー僧院のストゥーパ(仏塔)
 
* 19時半、ストゥーパ(仏塔)の周りに集まり、転法輪経を読経。そのあと、1時間の座る瞑想。
普段であれば、この部分は本堂での会合となるのですが、感染対策として、一時に多数が集まるのを避けて、毎日の勤行なども小グループにして行われています。そのため、一同が集まることができるよう、屋外での読経と瞑想となりました。気温は11−12度くらいで、晴れてはいるのですが、風がビュービュー吹いていて、瞑想が終わった頃には、体が冷え切っていました。
 
*(各自で修行)
 
* 22時に再び、ストゥーパに集合。一列になって、アジャン・アマローを先頭にゆっくりとその周りを三周(ウィエンティアンです)。やっと、あたりは暗くなり始めました。日没は午後9時20分くらい。緯度が高いのと、サマータイムのせいで、こんなに遅くまで明るいままです。捧げる花と線香を手に携えます。(いつもはロウソクもなのですが、簡略化されていました。)花は僧院の敷地内に咲く小さい野の花でした。これも普段でしたら、在家の方が花を用意していただいたりするのですが、まだ、僧院は外部者の立ち入りができないことが、背景にあります。今日のような行事の日には、本堂にぎっしりと在家の皆さんが集まるはずでした。今回は、出家者50人弱とフアンやスウィラさんのような僧院に在するボランテイアの人たちなど20人くらいでの集まりでした。三周が終わると、それぞれ手にしていた花と線香を捧げ、最後に全員で、メッタ・スッタ(慈経)と廻向の偈を唱えて、終了です。
 
本来は真夜中まで会が続くのですが、今回はここまででした。月の出が午後10時頃とのことでしたので、まだ、満月を見ることはできませんでした。
 
* そして、明日の夕方、安居入りの儀式があります。一人一人が3ヶ月の安居を過ごす誓いを立てるものです。

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吹きさらしのなか、線香と小さな野の花を携えて出家者と関係者だけで仏塔を周る……ありありと情景が目に浮かび、厳かな気持ちになります。

また、甚大な感染拡大のあったイギリスのロンドン郊外の僧院でもアハラハ・プジャが慎ましく行われていたことは、日本の片隅で瞑想実践をする私たちを励ましてくれます。

ニャーナラトー師、お忙しいなかで執筆くださり感謝いたします。

 

三宝節の翌日から約3ヶ月は雨安居となり、僧侶は基本一箇所に滞在して修行に専念されます。

コロナ感染拡大の影響で不要な外出を控え、なるべく家にこもって生活されている方も多いと思います。これを修行の機会ととらえ、より意識的に雨安居をすごしてみるのもいいかもしれませんね。