コマメディア 〜史上最弱の仏弟子コマメ〜

雑誌、書籍で活動するライター森竹ひろこ(コマメ)が、仏教、瞑想、マインドフルネス関連の話題を紹介。……最弱なのでおてやわらかに!

【報告】臨床仏教者のマイケル・マランソン(大雲)さんの「マインドフルネスの午後」に参加しました(ハートオブ横浜・東京サンガ主催)

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昨日(11月4日)は、臨床仏教者のマイケル・マランソン(法名:大雲)さんの「マインドフルネスの午後」に参加のため、横浜の港の見える丘公園にある大佛次郎記念館へ。

 

ゲスト通訳はティク・ナット・ハンの『ブッダ「愛」の瞑想』(角川学芸出版)、『和解~インナーチャイルドを癒す』(サンガ)の翻訳をされた磯崎(鈴木)ひとみさん。

ひとみさんはアメリカのプラムヴィレッジ(PV)サンガの慈善団体が企画した、ベトナムをボランティアやプラクティスをしながら2週間かけて縦断するツアーに参加し、その時のファシリテーターの1人がマイケルさんだった。

今回、プライベートで来日されることになり、ハートオブ横浜・東京サンガ主催でマインドフルネスの実践会が実現した。

 

アメリカ人のマイケルさんはカトリックの家庭に生まれたが、精神的な側面で満たされないものを感じていた。キャリアで成功をおさめた49歳で仕事をやめ、1年かけて世界の宗教を探求し、禅に出会い曹洞禅と臨済禅を修す。

そのなかで、ティク・ナット・ハン(ベトナム臨済禅)と、ジョアン・ハリファック長老(曹洞宗)に師事。プラムヴィレジのOIメンバー(正会員)となり、ハリファック師からは戒を授かった。

現在は、カリフォルニアのパームスプリングスでPVサンガをたちあげ、また臨床仏教者として暖和ケアや終末期医療ケアに従事されている。

 

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港をのぞむ和室に入ると、力強さと柔らかさを併せ持つ笑顔でマイケルさんが出迎えてくれた。部屋は温かなで安心できる空間に整えられ、マインドフルネスのエネルギーでみたされているよう。この方は本物の実践者だということが、スッと伝わってきた。

 

会はすわる瞑想にはじまり、自己紹介をかねたお話や質疑応答が行われた。

 

マイケルさんは「プラクティスは、一つ一つ息を数えるやり方もあれば、ただ坐って息を吸って吐いていくやり方もあります。公案で修行をする人もいます。どんな方法であれ、向かう先はただ一つ、目覚めることです。どんなプラクティスも目覚めるためのものです」と言われた。

複数の師を持つマイケルさんだが、それが矛盾なく統合されていることが、質疑応答などを通じて伝わってきた。

 

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ジョアン・ハリファック長老から戒を受けたマイケルさんの絡子は、たくさんの大切な人から受け取った布や糸でパッチワークされていた。

マイケルさんのお母様がお父様のために編んだセーターを解いた糸や、師匠に服の切れ端、親友のボーイスカウトの制服の一部、そしてユダヤ人の友人のテーブルクロス。これは、もとはアウシュビッツで娘さん以外殺された家庭のものだったそうだ。

「一つ一つが、私にとって聖なるものです」と説明するマイケルさん。

 

そして、休憩をはさんで、お茶の瞑想(ティーセレモニー)へ。

ブッダ像(この日はなかったのでティク・ナット・ハンの写真)に、その場にいた一番若い2人がお茶とお菓子を捧げるところからはじまる本格的なものは、私は久しぶりだった。

お茶を乗せたお盆が隣の人からまわってくる。合掌してお茶を取り、お盆を受け取り反対側の隣の人へとまわしていく。

そのときの所作の一つ一つを時間をかけて丁寧にやっていく。

マイケルさんが偈(仏教の教えを説いた詩)をよみ、鐘の招き、沈黙のなかお茶を楽しむ。

 

しばらくの沈黙の後は、お茶やお菓子を飲食しつつ、好きな詩や歌、そして感想などのシェアをした。

マイケルさんは自作のプラクティスをテーマにした詩をのせた、「ジングルベル」の替え歌「DHARMA BELLS」を紹介してくれた。

これは、例えば「♪ジングルベル、ジングルベル  鈴がなる」のところが「♪Breathing in,breathing out  Practice set me free」となったりして、元歌が絶妙に生かされていて私的にサイコーでした。日本の実践仲間のあいだでも、広めたい!

 

マイケルさんは、お茶の瞑想はあらゆる感覚に目覚めていくとともに、コンパニオンシップも育むプラクティスだと言われる。

お茶の瞑想は、宗教色を抜いたマインドフルネスの会でもよく行われている。もちろん、それも意味があるが、やはりフルバージョンは別格だ。

 

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会の最初にマイケルさんは「私が伝えることができるのは、プラクティスの喜びです」と言われたが、本当に自身でそれを体現されていた。

それは「ウィー!」という、一時の興奮によるものではない。

呼吸とともに坐っているときも、丁寧な所作のひとつひとつにも、ユーモアをまじえた穏やかな語り口にも、いつもゆるぎない喜びが満ちていた。

 

午後の短い集まりだったが、とても精神的密度の濃い時間がすごせた。

マイケルさんの「あらゆることが、プラクティスへとつながる扉です」「ひとつひとつ丁寧にやっていきましょう」といったシンプルな言葉が、それを血肉にされている彼とともにプラクティスをすることで、しみじみと心身に染み込んでいった。

 

三連休の最終日に、このような時間をもてたことを感謝したい。

運営をされた西田さんをはじめハートオブ横浜・東京サンガのみなさん、

心のこもった通訳をしてくださったひとみさん、ありがとうございました。

 

  

(おまけ)

マイケルさんはプラクティス好きで有名だそう。

マインドフル仲間に「きっと森竹さんは、マイケルさんを気にいると思ったよ」と言われたが、単純にプラクティクをすること自体が好きで喜びでもある私には、同じ匂いのするマイケルさんにお会いできたのがとても嬉しかった。

もちろんマイケルさんの方が、ずっと芳醇であるが……