コマメディア 〜史上最弱の仏弟子コマメ〜

雑誌、書籍で活動するライター森竹ひろこ(コマメ)が、仏教、瞑想、マインドフルネス関連の話題を紹介。……最弱なのでおてやわらかに!

取材&構成を担当した、仏教総合雑誌『サンガジャパンVol33 』を紹介します

f:id:komamemet:20191031170032j:plain

 

仏教総合雑誌『サンガジャパンVol33 人間関係』が発売中です。

私は今号は、ブックフェア「ポトラ」で2年連続で行われた、禅僧・藤田一照さんと田口ランディさんのトークセッションの取材と構成を担当しました。

 

実はこの対談、私も準備から当日の司会(という名の雑用)まで関わらせてさせていただいた、思い入れのあるもの。こうしてテキスト化し、二年連続一挙掲載という形で参加できなかった人にも読んでいただけるようになり、感慨深いです。

 

第一回目(18年)は、現代社会の問題をブッダならどう答えるだろうかという疑問を、ランディさんが一照さんに問いかけるというもの。二人の精神的な遍歴にもふれながら、異なる視点から社会を語り合う、聞き応えのある対談になりました。

 

第二回目(19年)は、英語で仏教を語り直してみようという企画。なぜか仏教を英語で学ぶと理解が進むというランディさんの直感を出発点に、長年アメリカで禅を英語で伝えた一照さんの目からうろこの講義へと展開します。

 

本好きの人で大入り満員になった熱のこもった部屋で、率直に、誠実に語られるお二人の言葉を聞くのは、至福の時間でした。超多忙なお二人が、二年連続で対談くださった貴重な記録をぜひお読みください。

 

 ……………………………………………………………………………………

 

 ところで、今の特集は「人間関係」ということで、アドラー心理学の岸見一郎さんや、精神科医水島広子さん、ノンフェクション作家の高野秀行さんなど、いつも以上に幅広い方々が登場します。もちろんテーラワーダ僧のスマナサーラ長老やプラユキ師、禅僧のネルケ無方師、瞑想する脳研究者の藤野正寛さんなど、おなじみの方々も健在。

いくつか付箋を付けた言葉をシェアします。

心に響く言葉があったら、ぜひ本誌で全文をお読みください。

 

 仏教の教えでもありますが、ストア哲学でもそうです。今日を最後の日と思って生きなさいと、アウレリウスは『自省録』の中で書いています。人は何年生きても同じことなのだ、と。三千年、三万年生きても、今しか生きられない。失うことができるのは、今しかないと言っています。過去もないし未来もない。

 

「『今、ここ』を生きる勇気」 岸見一郎

 

 私たちは「人の気持ちがわかるようになりたい」という大それたことを考えるのをやめるべきです。それより、自分の気持ちを理解しようとすべきです。自分の痛み・自分の心の状態・自分の喜び……それを理解すると、人の痛み・人の気持ちもわかるようになります。人の気持ちがわかるということは、自分自身の気持ちもわかっているということなのです

 

ブッダ智慧で解決!人間関係Q&A」  アルボムッレ・スマナサーラ

  

 私たちはいつでも今ここで一つのことしかできません。でも私たちは全部ができるように感じてしまいます。だからやることがたくさんあると重荷に感じるのです。でも実際は、やれることはその都度シンプルに一つだけです。

 本当は矛盾なんてこの世にはありません。そう見えてしまうのは、そのように見ているからです。イメージの世界です。イーメジを描くことによって、問題を重く困難にしてしまっているのです 

 

「抜苦与楽でお悩み解決!人間関係も軽やかに」 プラユキ ・ナラテボー

 

 師匠はここで死んだら葬式はしてあげる。しかも「ただ」でしてあげると言っている。じゃあそのお言葉に甘えて死んでみよう。そう思って、頑張るのも逃げるのもやめて、ともかく死ぬかもしれないけれど、ともかくこのまま坐禅のままでいよう。坐って死のう。そう思った瞬間、ふっと楽になったのです。

 

「さようなら。安泰寺(前編)」 ネルケ無法

 

死は、無常・無我・苦のラスボスのようなものです。いつか、このラスボスと向き合うときが必ずきます。今は、まだ、その死が立ち現れたときに、緊張することなく受容することはできないかもしれません。しかし、ほんの小さな一粒のかゆみとか、人間関係から生じる苦とか、そういったものを使って、無常・無我・苦の智慧を育み、それらをありのままに受け入れるトレーニングをしていくと、ひょっとしたら、死と向き合えるときがきたときに、開かれた態度で、死を受容できるかもしれない。

「身体の声に耳を澄ます」 藤野正寛