私は2017年12月から翌年1月にかけて、
英国アマラワティ僧院のリトリートセンターで開催された、
日本人比丘アチャン・ニャーナラトー師のリトリートに参加して、
深く心とふれあう静謐な時間をすごしました。
リトリートのプログラムは、メソッドにそって瞑想に専念するタイプではなく、
聖なる沈黙のなか、作務(workinng meditation)や、
あたかも散歩をしているような野外での歩く瞑想もありつつ、
じっくりと法話を聞き、すわる瞑想も実践できるように組まれていました。
そして、(テーラワーダ)仏教を真ん中におきながらも、
他の宗教や宗派、そして無宗教の人でも受け入れられるスペースがある。
今まで多くの瞑想合宿やリトリートに参加しましたが、
瞑想を修しつつ日常も瞑想的に生きる道をヨタヨタと歩む私には、
ことのほか合っているようでした。
そして、何よりニャーナラトー師のあり方が素晴らしい。
これは、日本の仏教瞑想やマインドフルネスの実践者にも、
きっと多くの恵みを与えてくれるはず。
ぜひ日本の地で、日本語での開催をと思いたち、
この9月21~25日(4白5日)に、師と縁の深い熱海の仏法学舎さんの協力を得て実現しました。(センターのリトリートより、日数は少ないですが)
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実はこのリトリート、昨年の10月に予定していましたが、
師のお母様の容体が悪化したため中止に。
そこで、まずは急な中止を快く受け入れてくださった昨年の参加予定者(キャンセル待ちふくむ)にお知らせしたところ、
それだけで定員になりました。
(みなさん、一年間待っていてくれたのかと感慨深いです)
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リトリートは三帰依をして八戒を守るという、本格的な仏教スタイル。
早朝、午前、午後、夜とセッションがあり、
法話、読経、「無我経」の読経やレクチャー、瞑想(すわる瞑想、野外での歩く瞑想)、質疑応答などが行われました。
言葉を慎む「聖なる沈黙」ですごし、
八戒のため午後は固形物をとらないので(一部例外あり)食事は朝と昼前のみ、
仏法学舎スタイルの菜食でした。
ドリンクコーナーも正午を過ぎるとお菓子や、乳製品を使用した飲み物を片付けます。
お化粧も控えるので、朝の身支度も時短(!)になって楽でした。
法話は、八戒や三帰依、三拝について現代人にもスッと入る文脈で丁寧に説明くださったり、
十二因縁の詳しい解説をされたり、
若き修行時代のエピソードを話されたり……
普段の瞑想会では時間の関係で踏み込めないところまでお聞きできたのも、
泊りがけのリトリートならでは。
また、毎晩「無我経(無我相経)」を少しずつ学んでいきました。
「無我経」のテキストは、英国アマラワティ僧院のチャンティングブック(経本)から借用。
このチャンティングブックはページを開いた状態で、
左ページが英語、右ページがパーリー語で書かれ、対比して読むことができますが、
さらにパーリー語には読経できるように、
ニャーナラトー師が直筆でカタカナの振り仮名をふってくださいました!
「無我経」は中程度の長さのお経ですが、毎晩パートごとにわけて学ぶことで、
最終的には通して内容を理解し、読経できるように。
さらに解説だけでなく、お経を通してパーリ語の基本的なことも講義くださり、
充実した学びの時間となりました。
ニャーナラトー師は折にふれて、人生を正しく導いていく指針でもある、
ダーナ(布施)、シーナ(持戒)、バーワナー(心を育てる、開発する:development、瞑想)の大切さを説かれ、
リトリートを通してそれが自然と心に染み込んでいきました。
(西熱海別荘地の高台に建つ仏法学舎。歩く瞑想のコースには伊豆の海を一望できるスポットも)
* お礼 *
仏法学舎の法道さんとボランティアスタッフの方々、
制約の多いなかきめ細やかな対応をしてくださり、
また美味しく栄養にも配慮した食事も提供くださり、ありがとうございました。
みなさんのおかげで、安心して運営することができました。
また、仏教瞑想の修行者として気づきを保ちつつ作業をされる姿を目にするたびに、姿勢が正されました。
参加者のみなさん、ひとりひとりが真剣に(でも、前のめりにならないで)取り組む姿は励みになりました。
「聖なる沈黙」を守り、気づきとともに行動し、リトリートにふさわしい場をつくってくださったことに随喜いたします。
ニャーナラトー師は、ハードなスケジュールを軽やかにこなし、
つねに参加者に寄り添うように話し、瞑想し、歩き、食してくださり、
そのあり方からも、言葉をこえて多くのことを学ばせていただいました。
リトリートの開催を承諾くださり、最善の指導をしてくださったことに心より感謝いたします。