コマメディア 〜史上最弱の仏弟子コマメ〜

雑誌、書籍で活動するライター森竹ひろこ(コマメ)が、仏教、瞑想、マインドフルネス関連の話題を紹介。……最弱なのでおてやわらかに!

禅はこれ一冊でOK!? 『別冊サンガジャパン5 禅ールーツ・現在・未来・世界』が発売開始

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取材、執筆で関わった『別冊サンガジャパン5 禅ールーツ・現在・未来・世界』が発売されました。

 

禅を全方位から網羅した一冊。

今までも多くの禅を扱った雑誌やムック本がありましたが、ここまで領域を広げ、しかも深掘りしたものはなかったのではないでしょうか。しかもかなりマニアック、です。

 

私は以下の記事を担当しました。

 レポート

・Zen2.0 

坐禅会ガイド

 

インタビュー

・奥村正博老師

・長野自然老師

・井上貫道老師(再録)

・鈴木包一老師(再録)

・細川晋輔師(再録)

 

構成

・奥村正博老師×山下良道師 対談

・村上老師への質問

 

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公式サイトからの紹介です


「別冊サンガジャパン5  増補版 禅ールーツ・現在・未来・世界」

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1章 ZENとテクノロジー
2章 世界に広がる禅
3章 思想と系譜
4章 修行の実際
5章 坐禅会ガイド
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【執筆陣】松島倫明 川上全龍 松本紹圭×荻野淳也×三木康司 宍戸幹央 前野隆司 
ディディエ・ダヴァン デイビッド・チャドウィック 室矢憲治 奥村正博 三砂慶明 横田南嶺 ブラザー・ファップ・トゥー シスター・ラン・ニェム シスター・チャイ・ニェム 山下良道 櫛谷宗則 島薗進 伊吹敦 中村龍海 星飛雄馬
野口法蔵 長井自然 井上貫道 村上光照 鈴木包一 細川晋輔 葆光庵丸川春潭
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禅――ルーツ・現在・未来・世界

 仏教を宗教ではなく「ライフスタイル」と捉える流れがある。またその「哲学」に焦点を当て、宗教という枠を超えた体系として受け止められてもいる。なかでも「禅」はその筆頭と言えるだろう。私たちは禅をどのように捉えているだろうか。禅は何より、実践をともなう。禅定の実践である。そして清規(しんぎ)という規律があり、行住坐臥(ぎょうじゅうざが)が厳しく規定される。雲水の立ち居振る舞いに禅をみる。さらには、美意識。千利休は京都の臨済宗大徳寺に参禅していた。その大徳寺にはビートニク詩人のゲイリー・スナイダーが修行し、アレン・ギンズバーグが参禅し、アメリカにその気風を伝える。サンフランシスコに坐禅をもたらした、鈴木俊隆の Zen Mind Beginner’s Mind に傾倒したスティーブ・ジョブズApple を立ち上げ、そして i-phone を作る。ジョブズが纏ったのは禅の美意識ではなかったか。禅は世界に伝播し、文化の細部に浸潤し、世界のインフラまで変えてしまった、ともいえる。禅はなぜこれほどまでの影響力と魅力を持つのか。本号では、その時間軸を辿り、未来を遠望し、同時代を見渡す。

第1章 ZENとテクノロジー
 21世紀に入り、瞑想に脳科学的裏付けがなされると、世界を牽引する GAFAGoogleAppleFacebookAmazon)を含む、名だたる企業がこぞってマインドフルネスに飛びついた。一国家ほどの影響力を持つ巨大企業は、仏教に何を求めるのだろうか。テクノロジーを扱う企業が席巻する現代だからこそ、その倫理的な側面が注目されている。二元論的な価値基準で歩んできた社会が行き詰まりを見せる現代に、仏教そして ZEN は、我々に新たな解決策を示唆する。テクノロジー化が進む社会と ZEN が融合するとき、我々の幸福はより身近なものになるだろう。『WIRED』日本版編集長•松島倫明氏インタビューとともに、2018年9月に、鎌倉で開催された国際カンファレンス Zen 2.0 の様子をレポートする。


第2章 世界に広がる禅
 「禅」は海を渡り、「Zen」となった。中国のチャン(Chán)でもなく、韓国のソン(Seon)でもなく、日本の「禅」が、世界の ZEN として浸透し、定着した。アメリカ西海岸では、「自由」を渇望する若い世代を中心に、文学や音楽を巻き込んだ大きなうねりとなり、「ZEN」カルチャーが席捲した。一方ヨーロッパでは、特に瞑想の習慣を持つカトリック教会を中心に、禅とキリスト教の融合によるキリスト禅が誕生し、現在でも禅寺院と修道院の交流が盛んである。禅は、ローカルに根差しながら、それぞれのかたちで受容され、裾野を広げ続けている。本章では、欧米へ禅が伝わった経緯、禅研究の現在を紹介し、ローカライゼーションの豊かな営みをお届けする。


第3章 思想と系譜
 禅の思想と歴史を概観したとき、大きく二つの側面が見えてくる。それが極めて内面的な営みであるということ。そして、一方で生きるあり方として、また文化的な広がりとして、いやおうなく社会と関係する営みでもあるということ。その時々、その社会との関わりによって、禅はその思想を変化させてきた。そこには禅と戦争の関係もある。しかし一方で、体験の深まりと自己と世界の変容を体験するとき、それはきわめて個人的な出来事になる。自己の「真実」に直面したとき、その自己観と世界像をいかに言語化し体系化するのか。長い歴史を通じて、その二つの運動が交差し、幾重にも織り込まれてきたものが、禅の思想とは言えないだろうか。ときに狂気であり、ときに救いである禅の、内面性/外面性と、いま向き合うべき課題を提起する。

第4章 修行の実際
 禅はなにより修行の体系である。只管打坐であり、公案工夫であり、行住坐臥の一切である。その内実は言語化し得ないが、ときに禅僧の言葉は、私たちに活字を通して、変容をもたらす。意識を変える。視座が転換する。知識や知的理解では収まりきらない何か――、「体験」が立ち上がる。禅僧との対話は、体験そのものである。現代の名僧、禅の師に、修行のあり方の諸相を尋ね、語り得ない言葉を聴く。

第5章 坐禅会ガイド
 主に都内近郊で開催されている坐禅会を紹介する。初心者向け体験会、歴史ある会から、禅僧の指導のもと、本格的に坐禅修行に身を投じるきっかけにもなる坐禅会まで、そのあり方はさまざま。ここでは、初心者でも安心して気軽に参加できる会を取り上げた。気軽に足を運び、坐禅の機会を得ていただきたい。

 本別冊のもとになっているのは『サンガジャパンVol.27「禅――世界を魅了する修行の系譜」』である。新たな記事を大幅に追加し、再掲載の各記事も、著者による加筆修正により改稿している。まさしく禅の現在地を提示する、禅特集であるはずである。読者の禅への機縁となれば幸甚である。 (編集部)