2018年2月4日、みんなで知恵を持ちよる本のお祭り「ポトラ」が世田谷区の桜神宮会館で開催され、スタッフの予想をはるかに超えた、多くの方にご来場いただきました。
ポトラの基本コンセプトは「本が好きな人たちが集まり、出会い、本について語り合う本のお祭り」。小さいけどキラリと光る出版社がブースを出し、人気作家による文章講座や小説創作講座から、小さな出版社のつくり方、これからの本屋のかたちや、現在出版事情まで、多彩なテーマのセッションが開催されました。
また、ドリンク・フードコーナーでは、アアルトコーヒーやオーガニックカフェ「ドイス パナネイラ」が出店して美味しい飲み物とともに憩いの時間を提供し、キッチンスタッフによる絶品の特製バインミー(ベトナムサンドイッチ)が小腹を満たしてくれました。
メイン会場では、真剣に本を選ぶ人、出版社のブースで熱く語り合う人、セッションを深くうなずきながら聞く人、フードコーナーでドリンクを飲みつつ購入した本を満足そうに確認する人などなど、本の好きな人が集い、充実した時間をすごされていました。
もともと、ブックフェア「ポトラ」のアイディは、昨年、作家の田口ランディさんが犬の散歩をしながら思いついたそう。それに賛同する人たちが、知恵だけでなく、技術や、力、時間など、自分がギブできることを持ち寄り、準備が進められました。
ランディさんは「アクションを起こしたことだけが、偶然を呼び込むよ」とツイートされていましたが、その言葉のとおり、閃きをすぐに行動に移したことで、思いを同じくする人々がボランティアで集まり(その道のプロも多いです)、このステキな(読書好きにはパラダイスのような)場を実現することができたのです。
セッションの企画段階から参加させていただいた私は、偶然が偶然を呼び、必然となった姿を目のあたりにし、満員の会場で胸が熱くなりました。
* * *
私は、子どものころから本や雑誌が大好きで、将来はそれに関わる仕事をしたいと思っていました。
大学生になると雑誌を中心にイラストやマンガの仕事をするようになり、卒業後は業界誌で働き、その後独立し、縁あって小学館のマンガ雑誌や学年誌(『小学○年生』)を中心にライター(時に兼業マンガ家)として活動してきました。さらに、ここ数年は、他社でも仏教やマインドフルネス関連の企画、編集、ライティングの仕事も増えてきました。
そうやって、この業界の片隅で30年近く生きてきましたが、出版の世界は、電子出版の普及や読書や雑誌離れなど、かつてない大きな過渡期に来ているのを実感しています。
フリーとして模索するなかで、今回ポトラを通じて、直接的、間接的に出版に関わる人たちと知り合い、ともに過ごせたのは、得がたい経験になりました。……というか、なにより楽しかったです!
一つだけ残念だったことは、業務があるため、出版流通に小さな革命をおこしたトランスビューの工藤秀之さんをはじめ、あたらしい出版の形を模索し、生み出している方々のお話(セッション)を聞けなかったこと。なんらかの形で、お聞きする会ができないかなぁ……
※ 「ポトラ」のセッションのひとつで私がサポートした、禅僧・藤田一照さんと作家・田口ランディさんの対談の報告は、後日いたしますね。
ポトラのマークをはじめ、ブースデザイン&トータルアートディレクションは、山形在住のデザイナー平野拓也さんが、入口サインデザインや看板は、エンタメ看板界の巨匠・高橋芳文さんがアイディア・制作を担当くださいました。
平野拓也さんのサイト
高橋芳文さんの興和サインのサイト