コマメディア 〜史上最弱の仏弟子コマメ〜

雑誌、書籍で活動するライター森竹ひろこ(コマメ)が、仏教、瞑想、マインドフルネス関連の話題を紹介。……最弱なのでおてやわらかに!

【報告】「ことば×マインドフルネス」のワークショップを、講師に島田啓介さんを招いて開催しました

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2017年12月10日、長くマインドフルネスの実践、紹介をされている島田啓介さん(著述家、翻訳家)を招いて、ワークショップ「ことば×マインドフルネス」を開催しました。

 

会場は日比谷公園の敷地に立つ、日比谷図書文化館(旧、日比谷図書館)の小ホール。

 参加者にはお気に入りの本を一冊、持ってきてもらいました。

 

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まずは、アイスブレイク。自分の選んだ本の一言紹介と、その本を表現する体の動きをひとつ指定して、みんなで行いました。

伸びをしたり、思いっきりジャンプをしたり、肩甲骨をほぐしたり……一人一人が指定した、様々な動きをするうちに、緊張ぎみの体も心もほぐれてきます。

 

その後は、代表的なマインドフルネス瞑想である呼吸にかえる瞑想と歩く瞑想を行いました。

歩く瞑想は公園内を歩くため、散歩する早さで呼吸や、一歩一歩の足の感覚を感じながら、「今ここ」を味わいます。

 

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イチョウの黄色い葉が敷きつめられた黄色い大地は、この時期だけの贈り物。

木に留まっている黄葉が、初冬の柔らかな陽射しを受けてキラキラと輝きます。

噴水では、水滴と太陽の光が調和して、噴水虹がみえました。

都会の真ん中の日比谷公園にも、ささやかだけど、「今ここ」を豊かに味わえるものであふれていました。

 

こうして、リラックスしてマインドフルネスモードになったところで、メインプログラムに。

まずは、島田さんの「ことばとマインドフルネス」をめぐるお話です。

禅には「不立文字」や「教外別伝」といった、言葉ではさとりを伝えられないといった意味あいの禅語があり、言葉だけでわかった気になることを戒めています。

とはいえ多くの禅師が、禅語や文章としてことばを残しています。

そのことばは一見難解ですが、頭で考えるのではなくて、ありのままに体験することで、「生きることば」として自分のものになるのではないかと投げかけます。

ありのままに体験する、まさにピュアなマインドフルネスですね。

 

そして、ことばをマインドフルネスに体験していくワークに入りました。

 まずは、世界的なマインドフルネスブームの父といわれる、禅僧ティク・ナット・ハンナットの本をマインドフルリーディングの手法で、輪になって順番に読んでいきました。

ここでのキーワードは「所作」。自分で読む長さを自由に決め、読み終わったら隣の人に読み終わったところを指し示しながら渡します。茶道の所作のように、読むのも渡すのもていねいに、気づきをもって(マインドフルに)行います。

 

実際に読んでいると、上手く読もうと逸る気持ち、どこまで読んだらいいか迷う気持ち、読み間違えて恥じる気持ち、様々な思いが浮かんできます。でも、それに気づくことで、ただ読む人に戻ることができました。

マインドフルネス瞑想は、呼吸や歩みを気づきの対象にしますが、本を読むこともマインドフルネスの対象になるのが、再確認できました。

 

その後は、ことばの分かち合い。4人のグループになって、1人ずつ持参した本のなかの好きなことば(フレーズ)を朗読し、そのことばに対する思いを話します。聞く人はマインドフルリスニング(ディープリスニング)。話す人の持ち時間の3分間は、話の内容をジャッジせずに、ただ深く耳を傾けます。

そして、一人になって自分と向き合い、選んだことばと思いを書いたカードを制作。これをまとめてコピーをして、お土産として渡しました。(コピーは、スタッフのみほさんが影で大活躍してくれました)

 

最後はシェアタイム。今日の感想や質問などの、フィードバックを行いました。

みなさんが選んだことばは、自分にとって慰めとなった優しいことばであったり、道を指し示てくれた背筋が伸びることばであったり、子どもとの幸せな時間を思い起こしてくれることばであったり……様々でした。

それを、安全は空間で言葉にしてシェアすることで、自分がそのことばを選んだ深い意味を見いだしたり、そのことばとともに生きていく思いを確認したり、それぞれの方が日常では見逃していた、大切なことに気づかれたようです。

 

 

島田さんが考案してくれた「ことばと本」をテーマにしたマインドフルネス・ワーク、多くの示唆に富むものでした。一回だけではもったいない。さらにブラッシュアップして、深めていければと思います。