企画の段階から関わらせていただいた、「別冊サンガジャパン3 マインドフルネス」(サンガ )が発売されます。
2010年の創刊からマインドフルネス(サティ、念、気づき)に関する話題を取り上げ続けたサンジャパだけに、圧倒的な情報量と、そうそうたる顔ぶれ。特に仏教、医療関連が充実しています。
【目次】
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巻頭インタビュー メンタリストDaiGo
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パート1 医療・科学・教育
「マインドフルネスは幸せに気づくことができる瞑想法」インタビュー 越川房子
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「マインドフルネスの実践と理論」熊野宏昭
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「日本における臨床医療の現場でのマインドフルネス実践を先導するクリニックの試み」
東京マインドフルネスセンター・、マインドフルネスワークショップの記録
スティファン・G・ホフマン/藤田一照/熊野宏昭/山下良道
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「仏教が医療に与えるもの」
米国の女性老師ジョアン・ハリファック老師が開発した医療従事者向けマインドフルネス・プログラム
・「GRACE」「BWD」を日本に導入する試み 村川治彦
・実践レポート 井上ウィマラ
・医療従事者のための仏教と医療の統合プログラム「BWD」を概観する 永沢哲
・「GRACE」プログラム2015in奈良を振り返る 井上ウィマラ/栗原幸江/高宮有介/垣藤暁
・八正道をベースとした「死の臨床に向き合う」ための瞑想指導 藤田一照
「あるがままに観る人の系譜」藤野正寛
「がんと心の関係」川畑のぶこ
「少年院の更正教育プログラムとして導入されはじめたマインドフルネス」
「慈悲の智慧と科学」インタビュー Dr.バリー・カーズィン
パート2 ビジネスへの展開
「マインドフルネスと幸福学の未来」
前野隆司/藤田一照/井上広法/田中ウルヴェ京/萩野淳也/清水ハン栄治/秋山美紀
「グーグルのマインドフルネスを体験してみる」萩野淳也
「グーグルも注目する、ティク・ナット・ハン師のマインドフルネスプラクティス」インタビュー ビル・ドウェイン」
「ビジネスパーソンにもう一つの視点を与えるマインドフルネスの効果」
パート3 仏教からの視座
「考えない練習と、考えにとらわれない練習」小池龍之介
「心を見つめる」蓑輪顕量
「禅の立場から指摘する『マクマインドフルネス』の問題点」インタビュー ネルケ無方
「平和の礎としての組織論」島田啓介
(以下、サンガニュースレターのコピーです)
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〔1:新刊情報〕
『別冊サンガジャパンvol.3−マインドフルネス
—仏教瞑想と近代科学が生み出す、心の科学の現在形』
監修:蓑輪顕量
発売日:2016年11月30日
定価:本体2200円+税
ISBN: 9784865640700 C0015
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マインドフルネスの特集号が別冊第1号に続き
再び組まれたことをとてもうれしく思っている。
マインドフルネスという用語が市民権を得てから久しいと思うが、
その内実がどのようなものなのかは意外と知られていないように思うからである。
本特集号は、そのマインドフルネスを、実際に実践されている方々の思いを中心に特集している。
本書の冒頭を飾るのは、今をときめくメンタリストDaiGo氏の実践からである。
そして、研究者と実践者の双方が、各自の体験を交えながら執筆をしているところに、
本書の特徴があるように思う。
研究者と現場の方々の双方が、まさしく臨床の智慧として特集しているところが、とても注目されるのである。
本書に収載された文章は、マインドフルネスが一過性の流行に終わらないよう注意を促すものや、
マインドフルネスを認知行動療法の面から明らかにするものなど、いずれも有益なものばかりである。
とくにマインドフルネスが「注意の分割」を起こすものであることを
脳科学の世界から明らかにしているところは興味深い。
それがもたらす心の変化は、現代の社会にとってとても大切なものであることは間違いなく、
私たちの悩み苦しみを超える道であろう。
別の言葉で言えば、仏教の瞑想が科学のメスを受け入れ、
マインドフルネスとなって新たな段階を迎えているということなのだろう。
しかし、プラスの側面だけではない。
一方で、それが人によってマイナスの反応をもたらすこともあることに注意を促している。
いずれにしろ、本特集号は、現時点における、マインドフルネスに対する最新の視点が満載されている。
本書のなかでマインドフルネス(mindfulness)とアウェアネス(awareness)という言葉が登場する箇所があったが、
この二つが具体的にどのような内容を示しているのか、気になった。
あえて説明をしていないのかも知れないが、この二つのことばは、
仏教の視点から見ると、とても大事な点を説いているように思う。
それは、私たちの心が持つ、言葉の機能とのかかわりを考えさせるものだからである。
今、仏教の伝えた瞑想法が現在の社会の中に、新たな形で根を下ろしつつあるのだと思う。
それは、本書のなかの記述を借りれば、まさしく「仏教科学と近代科学」の協働の幕開けなのだろう。
このようなことを考えつつ、本書が、さらなる展開を生み出す契機になってくれることを念願し、巻頭のことばとしたい。
(蓑輪 顕量 巻頭言より抜粋)
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