4月28日(木)、来日されたチベット仏教ニンマ派の僧侶、パトゥル・リンポチュのパブリックトーク(一般講演会)に参加しました。
日時 2016年4月28日(木) 19時〜21時
場所 若林地域センター 第一会議室
リンポチェは19世紀に活躍したザ・パトゥル・リンポチェの転生者(4代目)として、ダライ・ラマ法王や、当時のニンマ派管長から認定されています。
お生まれは1963年。チベット東北部の貧しい田舎で育ち、14歳でニンマ派六大寺院のひとつゾクチェン寺に入り、多くの偉大な先生方から教えを伝授されました。その後、ベルギーに拠点を移し、現在ではヨーロッパで活動する有力なリンポチェのお一人になられています。
会場には補助席を出しても立ち見が出るほどの、大勢の人であふれていました。
「リンポチェが到着しました」の声に、全員が席を立って出迎えます。太陽のように朗らかなリンポチェが姿を現すと、会場の明るさが増したように感じました。
席に着かれると、「こんばんは、お元気ですか」と日本語の挨拶をされ、その後は流暢な英語で講義がスタート。(通訳付き)
まずは、「こん」と「ばん」と「は」という条件が整ったことで(→原因)、「こんばんは」という言葉が現れたこと(→結果)を例に、全てのものが互いに依存し合っている「縁起」の解説から始まりました。続いて正しい見解に立って、現象を分析的に見る大切さを説かれ(「完璧な心の窓から、分析瞑想を通して見る」といった表現もされていました)、さらに心の本質や解脱といったチベット仏教の核心へと進みます。
いくつか印象に残った言葉をピックアップします。
心が自由になるとは、二元論的概念から解放されること。
心は一つ、でも現れ方は一瞬一瞬で移り変わっていきます。
花が自分自身で大きくならなければいけないように、私たちも自分自身で如来蔵(Buddha-nature 仏性)を悟り、解脱しなくてはなりません。でも、種が花へと育つためには光、水、肥料などの条件が必要なように、私たちもブッダの教えや、先生などの縁をいただいて、自分自身の種を育てていくのです。
また、苦しみについて説かれるなかで、「もし世界の支配者になれば、一時の幸せは与えられるかもしれませんが、苦しみから逃れることはできません。老病死からは逃れられません」と言われた後に、
「(これを)私たちは理解していますよね!」
と何度も何度も、パワフルに繰り返されたことが強く印象に残りました。
まるで苦の本質を、私たちの肺腑にまで染み込ませようとするかの如く。全ての衆生が真実に目覚めて苦から解放されることを願う、リンポチェの真摯な思いが伝わるような一コマでした。
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パトゥル・リンポチェは2003年に初来日。以来、年に1〜2回は来日されてロンチェンニンティク(ゾクチェンの系譜の一つ)の系譜を体系的に日本に根付かせようと活動されています。
この日はパブリックトークのため、チベット仏教になじみのない人でもわかり易いように話されましたが、今回のGWツアーではさらに本格的な講義や、実践、灌頂などが行われています。
詳細は「東京ゾクチェンセンター」の、以下サイトでご確認ください。
http://www.patrulrinpoche.jp/nextevent/gw2016/